ABSについて少々・・・:高知白バイ事件 [高知白バイ事件]
今日はABSについて少々調べてみたことを取り上げて見たいと思います。
1審判決分から抜粋しますと下記のような記述があります。
「しかし、被告人運転車両に装着されたABSの原理等を説明する技術者は、被告人運転車両に装着されたABSは、センサーによって車両速度と車輪速度を算定し、車両速度が車輪速度を一定以上上回る状態になれば車輪がロック傾向にあると判断してブレーキ圧を自動的に低下させるものであるが、バスが低速度で進行する状態では、車両速度と車輪速度との間に一定以上の差が生じにくいことからABSが作動せず、スリップ痕が生じる事があると供述しており・・・・」
つまり、事故当時ABSが作動していたかどうかは解らないと・・・・
むしろ、構造上、低速時には作動しないことがあるため、事故当時はABSが作動せず、スリップ痕をつける要因となったと・・・・・・
まぁ、こんな風に言いたいわけですね。
ところが、支援者の方々が実施した「走行実験」のVTRを見る限り、速度計が10kmを示す速度から急制動を行ったところ、瞬間的にロックした車輪が再び回転を始める様が映されています。
つまり、少なくとも10km走行時には当該車両のABSは正確に作動する・・という事になります。
さて、そこでもう少し突っ込んで調べてみますと・・・・。
そもそもABSとは、「制動距離を短くする」という目的で開発されたものではないそうです。
ABSの最大の利点と一般車への導入目的は「車輪がロックすることによりコントロールを失うことを防ぐ」事が第一義で、そのために開発されたシステムです。
つまり、「より早く止まる」ためのシステムではなく、
「急制動をかけなければならないパニック状態にあっても、車両が運転者によりコントロールできる状態に置くこと」が最大の目的であるという事です。
そして、ABSの技術的評価の中にも、
「低ミュー路面や低速度の場合など、特定の条件下においては、ABSが作動することによって、停止までに要する距離が伸びる場合がある」との記述があります。
一方、低速時においては、静止までに要する時間は、非常に短時間であるため、人間の反応速度を考慮すれば、充分な回避行動を取れる余裕があるとは言えない状況にあります。
具体的に、時速10kmでの走行を想定すると、最大限即加速度-0.7Gの「急制動」を想定した場合、所要時間が0.4秒であることは先日の記事で述べたとおりです。↓
http://hachiman-kumori.blog.so-net.ne.jp/2009-02-05
この0.4秒という時間は、通常急制動を行う際の「空走距離」を算出する反応時間0.7~1秒の、約半分の時間であり、これは、その様な「瞬間」においては、人はいかなる回避行動も行えないことを示しています。
つまり、この程度の「低速時」においては、制動距離を短くすることが最優先されるため、ABSは「必要ない」という事になります。
すなわち、一審判決文の中では、センサーの計測精度の問題からABSが作動しない場合もあると言う、ABSが低速時にはいかにも「あいまいな」動作環境におかれる様な説明をしている訳ですが、それは「誤り」であり、むしろ低速時には、あえて作動をキャンセルさせる様、プログラムされていという事ではないでしょうか?
実際、各自動車メーカーでは、低速走行時にABSがキャンセルされるような仕組みにしています。
このABSをキャンセルする際のしくみが、一審判決文言うところの
「センサーによって車両速度と車輪速度を算定し、車両速度が車輪速度を一定以上上回る状態になれば車輪がロック傾向にあると判断してブレーキ圧を自動的に低下させるものであるが・・・」
という、記述に表されているという事になります。
では、この「一定以上」は「何km」なのか???
こうした仕組みは、システムとしてプログラムされている訳ですから「だいたい」で決まるものではないはずですね。
車両メーカーがはっきりとプログラムしている「設定数値」があるはずです。
具体的には、ロック状態の車輪の速度は0kmとなる訳ですから、その時の車両速度=走行速度であり、つまり設定される「一定以上の速度差」は、そのまま「設定する走行速度」を表すものと考えてよいと思います。
乗用車の例で言えば、H社とM社のサイトでは、「ABSは10km以下では作動せず、通常のブレーキとして働きます」と書かれています。
ところが当該バスは、少なくとも10km走行時にはABSが作動したわけです。
とすると、当該バスについて言えばそれ以下(時速10km以下)の速度で、ABSの作動がキャンセルされる様、設定されている可能性があるのではないでしょうか?
仮にその設定数値が7kmや8kmだったとすると・・・・。
警察と科捜研が8ヶ月がかりで積み上げた事故調書の前提「バスは10kmで走行」「ABSはその時作動しなかった」という条件設定が崩れてゆくのではないでしょうか????
1審判決分から抜粋しますと下記のような記述があります。
「しかし、被告人運転車両に装着されたABSの原理等を説明する技術者は、被告人運転車両に装着されたABSは、センサーによって車両速度と車輪速度を算定し、車両速度が車輪速度を一定以上上回る状態になれば車輪がロック傾向にあると判断してブレーキ圧を自動的に低下させるものであるが、バスが低速度で進行する状態では、車両速度と車輪速度との間に一定以上の差が生じにくいことからABSが作動せず、スリップ痕が生じる事があると供述しており・・・・」
つまり、事故当時ABSが作動していたかどうかは解らないと・・・・
むしろ、構造上、低速時には作動しないことがあるため、事故当時はABSが作動せず、スリップ痕をつける要因となったと・・・・・・
まぁ、こんな風に言いたいわけですね。
ところが、支援者の方々が実施した「走行実験」のVTRを見る限り、速度計が10kmを示す速度から急制動を行ったところ、瞬間的にロックした車輪が再び回転を始める様が映されています。
つまり、少なくとも10km走行時には当該車両のABSは正確に作動する・・という事になります。
さて、そこでもう少し突っ込んで調べてみますと・・・・。
そもそもABSとは、「制動距離を短くする」という目的で開発されたものではないそうです。
ABSの最大の利点と一般車への導入目的は「車輪がロックすることによりコントロールを失うことを防ぐ」事が第一義で、そのために開発されたシステムです。
つまり、「より早く止まる」ためのシステムではなく、
「急制動をかけなければならないパニック状態にあっても、車両が運転者によりコントロールできる状態に置くこと」が最大の目的であるという事です。
そして、ABSの技術的評価の中にも、
「低ミュー路面や低速度の場合など、特定の条件下においては、ABSが作動することによって、停止までに要する距離が伸びる場合がある」との記述があります。
一方、低速時においては、静止までに要する時間は、非常に短時間であるため、人間の反応速度を考慮すれば、充分な回避行動を取れる余裕があるとは言えない状況にあります。
具体的に、時速10kmでの走行を想定すると、最大限即加速度-0.7Gの「急制動」を想定した場合、所要時間が0.4秒であることは先日の記事で述べたとおりです。↓
http://hachiman-kumori.blog.so-net.ne.jp/2009-02-05
この0.4秒という時間は、通常急制動を行う際の「空走距離」を算出する反応時間0.7~1秒の、約半分の時間であり、これは、その様な「瞬間」においては、人はいかなる回避行動も行えないことを示しています。
つまり、この程度の「低速時」においては、制動距離を短くすることが最優先されるため、ABSは「必要ない」という事になります。
すなわち、一審判決文の中では、センサーの計測精度の問題からABSが作動しない場合もあると言う、ABSが低速時にはいかにも「あいまいな」動作環境におかれる様な説明をしている訳ですが、それは「誤り」であり、むしろ低速時には、あえて作動をキャンセルさせる様、プログラムされていという事ではないでしょうか?
実際、各自動車メーカーでは、低速走行時にABSがキャンセルされるような仕組みにしています。
このABSをキャンセルする際のしくみが、一審判決文言うところの
「センサーによって車両速度と車輪速度を算定し、車両速度が車輪速度を一定以上上回る状態になれば車輪がロック傾向にあると判断してブレーキ圧を自動的に低下させるものであるが・・・」
という、記述に表されているという事になります。
では、この「一定以上」は「何km」なのか???
こうした仕組みは、システムとしてプログラムされている訳ですから「だいたい」で決まるものではないはずですね。
車両メーカーがはっきりとプログラムしている「設定数値」があるはずです。
具体的には、ロック状態の車輪の速度は0kmとなる訳ですから、その時の車両速度=走行速度であり、つまり設定される「一定以上の速度差」は、そのまま「設定する走行速度」を表すものと考えてよいと思います。
乗用車の例で言えば、H社とM社のサイトでは、「ABSは10km以下では作動せず、通常のブレーキとして働きます」と書かれています。
ところが当該バスは、少なくとも10km走行時にはABSが作動したわけです。
とすると、当該バスについて言えばそれ以下(時速10km以下)の速度で、ABSの作動がキャンセルされる様、設定されている可能性があるのではないでしょうか?
仮にその設定数値が7kmや8kmだったとすると・・・・。
警察と科捜研が8ヶ月がかりで積み上げた事故調書の前提「バスは10kmで走行」「ABSはその時作動しなかった」という条件設定が崩れてゆくのではないでしょうか????
ABSの非作動速度については秘密でもないはず、ユーザーとしてメーカーに聞けば教えてくれるはずですね。
仮に時速10kmが境界だったとして、実験では時速10kmを超えていてABSが作動した場合では当然ああいう1.2mものスリップ痕はつきません。
そうなると時速10km未満で実験し1.2mのスリップ痕をつけられるか実験をすれば良いわけですが・・・・低速になればなるほど普通つきませんよね。
by kochiudon (2009-02-27 06:20)
kochiudon様
>聞けば教えてくれる・・・
そうですね。
生憎私は当事者でもユーザーでもないので、それを聞ける立場にはありませんので知るすべはないのですが・・・。
いずれにせよ、仰る様に、確認さえ取れればまた一つ向こうさんに不利な要因となるのではないかと思います。
ついでに、事故後のバスの修理記録があれば、ABSに異常があったかどうかも確認できるのでは無いかと・・・。
by あびすけ2号 (2009-02-27 19:15)