もう一度「スリップ痕-らしきもの」に立ち返ってみる [高知白バイ事件]
さて、今日は再び、高知白バイ事件について・・です。
今回は、バスの最終静止位置と、衝突後からのバスの動きについて、独自に作図したものをお見せしていきます。
まず、最初におなじみ「科捜研」の資料と私が作成したバスを重ねたものです。
(全ての画像はクリックして拡大表示が出来ます)
何度かの作図の修正を経て、現在はこの位置がバスの最終静止位置であると考えています。
この位置は、さっか痕との位置関係や角度も、写真などの資料に基づき可能な限り検証した上で特定しています。
そこで、このバスの位置をよりシンプルに明示するために、Tマークを書き込み、科捜研資料の下敷きを外したものがこちらです。
バスのタイヤの切れ込み角度も、写真とTマークの角度から推察し、この程度でよかろうと考えています。
次に、この両前輪のTマークが特定できている事から、路面の「アスファルト打ち継ぎ目地」との位置関係が特定できます。
このアスファルト打ち継ぎ目地は、道路縦断方向に平行であり、また右折車線の中央から約2/3あたりの位置に存在する事から、道路の幅員と各車線の位置と方向はこのようになります。
このままでは見にくいので、道路の縦断方向を画面に対し垂直の向きに合わせて、バスの静止角度(道路横断方向に対する角度)を表示します。
すると、図面上の道路横断方向とバスの中央軸の作る角度は5度少々という事になります。(図上の実測値)
次に、この状態で、科捜研資料からトレースしてきた「左前輪のスリップ痕(らしきものの跡)」に着目します。
左右どちらの痕跡でも良かったのですが、科捜研資料では左側の痕跡の方が長く表示されているため、より傾向が掴みやすいと考えたからです。
そして、その左前輪のスリップ痕に添わせるかたちでバスの移動軌跡を推定したものが次の画像です。
拡大で見ると、タイヤが平行移動しているようにも見えますが、実際にはその移動軌跡は、左後輪(外側)を中心とした回転運動を含んでいます。
この回転運動の中心が左外側後輪であるとした理由は、少なくとも前進状態(一時停止中である状態を含む)にあるバスの車輪が、後退方向に車輪が回る事は考えにくいためです。
平ったく言うと、少なくともギヤがDレンジに入っているとすれば、どんなに側面からの衝突などによる入力があったとしても、車輪が後進方向に回転する事はないので、車軸の中央部を中心としたバスの回転はないであろうと考えたからです。
という事はまあ、バスは衝突の衝撃で↑こういう風に移動したのではないだろうか?
という事です。
で、はじめに設定したバス前輪のステアリング切り込み角から推定すると、バスはおおむね半径50m程度で進行していたと考えられるため、路外から侵入してきた軌跡を含めると、このような軌跡を描いたと推定できるのではないかと考えました。
(バスのステアリング切り込み角は一定で想定しています)
現在のところ、このバスの移動軌跡はかなりの精度で再現できたと考えています。
ただし・・・・・。
そうです。
ただし、この再現は、科捜研資料の示す、左前輪のスリップ痕上をバスが移動したと考えた場合を基準としています。
つまり、このバスの移動軌跡は、あくまでも検察側提示の資料を「正しく読み直した結果」であるととらえてください。
とりあえず、今日はここまで・・・・。
今回は、バスの最終静止位置と、衝突後からのバスの動きについて、独自に作図したものをお見せしていきます。
まず、最初におなじみ「科捜研」の資料と私が作成したバスを重ねたものです。
(全ての画像はクリックして拡大表示が出来ます)
何度かの作図の修正を経て、現在はこの位置がバスの最終静止位置であると考えています。
この位置は、さっか痕との位置関係や角度も、写真などの資料に基づき可能な限り検証した上で特定しています。
そこで、このバスの位置をよりシンプルに明示するために、Tマークを書き込み、科捜研資料の下敷きを外したものがこちらです。
バスのタイヤの切れ込み角度も、写真とTマークの角度から推察し、この程度でよかろうと考えています。
次に、この両前輪のTマークが特定できている事から、路面の「アスファルト打ち継ぎ目地」との位置関係が特定できます。
このアスファルト打ち継ぎ目地は、道路縦断方向に平行であり、また右折車線の中央から約2/3あたりの位置に存在する事から、道路の幅員と各車線の位置と方向はこのようになります。
このままでは見にくいので、道路の縦断方向を画面に対し垂直の向きに合わせて、バスの静止角度(道路横断方向に対する角度)を表示します。
すると、図面上の道路横断方向とバスの中央軸の作る角度は5度少々という事になります。(図上の実測値)
次に、この状態で、科捜研資料からトレースしてきた「左前輪のスリップ痕(らしきものの跡)」に着目します。
左右どちらの痕跡でも良かったのですが、科捜研資料では左側の痕跡の方が長く表示されているため、より傾向が掴みやすいと考えたからです。
そして、その左前輪のスリップ痕に添わせるかたちでバスの移動軌跡を推定したものが次の画像です。
拡大で見ると、タイヤが平行移動しているようにも見えますが、実際にはその移動軌跡は、左後輪(外側)を中心とした回転運動を含んでいます。
この回転運動の中心が左外側後輪であるとした理由は、少なくとも前進状態(一時停止中である状態を含む)にあるバスの車輪が、後退方向に車輪が回る事は考えにくいためです。
平ったく言うと、少なくともギヤがDレンジに入っているとすれば、どんなに側面からの衝突などによる入力があったとしても、車輪が後進方向に回転する事はないので、車軸の中央部を中心としたバスの回転はないであろうと考えたからです。
という事はまあ、バスは衝突の衝撃で↑こういう風に移動したのではないだろうか?
という事です。
で、はじめに設定したバス前輪のステアリング切り込み角から推定すると、バスはおおむね半径50m程度で進行していたと考えられるため、路外から侵入してきた軌跡を含めると、このような軌跡を描いたと推定できるのではないかと考えました。
(バスのステアリング切り込み角は一定で想定しています)
現在のところ、このバスの移動軌跡はかなりの精度で再現できたと考えています。
ただし・・・・・。
そうです。
ただし、この再現は、科捜研資料の示す、左前輪のスリップ痕上をバスが移動したと考えた場合を基準としています。
つまり、このバスの移動軌跡は、あくまでも検察側提示の資料を「正しく読み直した結果」であるととらえてください。
とりあえず、今日はここまで・・・・。
ぉお、久しぶりの考察ですね。
<1001図>
前にも同様の図面があったと思いますが、カソーケンの図面は異様にフロントと前輪間の距離が長くで、30~40cmぐらい切り落とさないと駄目だとのご指摘で、目から鱗でした。あれで随分と訳のワカラナイ図面が読めるようになりました。読めるようになったといっても読むほうでの「解釈」が必要だというのは如何なものか?ではありますが。それはさておき、おかげさまにて如何にカソーケン図面がイイカゲンなものであるかの理解が深まりました。ありがとうございました。
<1005図>
なるほど5°12’28”ですか。大いに参考になります。
<1006図>
因みにスリップ痕のタイヤ中心位置より前方への出は10cmぐらいと設定しているのでしょうか?
<1009図>
緑が衝突時のバスの設定ですか?
またその緑バスを切れ角5度で歩道のほうに戻してやるとほぼ道路に直角になる、という理解で宜しいでしょうか?
*****
まだ始まったばかりで、質問ばかりですみません。
お答えは急ぎません。次の記事のときにでもいつでもそれなりにということでよろしく。
次回も期待。
by i_2_me (2010-01-23 19:21)
i_2_me様
コメントありがとうございます。
私の作図もいくつかの想定のもとに書かれていますので、現場での動きが絶対このように成っていたと断言できるものでもないとは思います。
ですが、逆にいくつかの「間違いない点」も含んでいると思っています。
その一つが「バスの平面形状」です。
フロントオーバーハングは、カタログデータから読み取ったものでこれに間違いはありません。
また、「スリップ痕のタイヤ中心位置より前方への出」は、特に寸法で設定したものではありません。
科捜研の図面と現場の写真を資料に、バスの位置を合わせていくと、この様な位置関係になったという事で、あくまでも「結果」です。
1009図の緑で書かれたバスですが、これはまだ「衝突時」のバスというわけではありません。
バスの軌道が変わり始めた時のバスの位置と想定しているだけです。
ただし、「スリップ痕」が付く以前にバスの軌道が変化している場合は、この図とは異なる結果になるかもしれません。
ちなみに、これらの資料からだけでは、まだ「衝突時の位置」は特定できないと思っています。
by あびすけ2号 (2010-01-24 06:09)